HOMEに戻る

【13】医療者のメンタルヘルスケア
自信のなさを患者さんと親しくなりすぎる事でうめる心・患者さんとの距離




■患者さんとの関係

 どこまで入り込むか

 「必要以上に、患者さんと仲良くなってはいけない」という指導医の言葉
  自信のなさを埋めるために、心理的な距離を近づけることで代償してしまう

もう一つ、別のたとえを出したいと思います。

研修医の頃、指導医に、こんなことを教えられました。
それは、「必要以上に、患者さんと仲良くなってはいけない」
ということです。

理由は、「必要以上に深く入り込むと、的確な判断ができなくなるから」
とのことでした。

しかし私は深く関われば関わるほどいいことなのではないか、と考えました。
その指導医の言葉を無視して、
時間があれば担当の患者さんのところに足を運んでいました。

しかし、深く入り込めば入り込むほど、気になることが増えてきたのです。
感情移入しすぎて、身内のような判断になってしまうこともありました。

必要もないのに、呼び出されることがありました。
自宅に電話がかかってきたこともありました。
あの人はどうだとかこうだとか、他の患者さんや看護師の悪口を、
私に告白するようになりました。

これは患者さんが悪いわけではなく、
それを引き出した私自身に問題があったのです。

そこで分かったことは、医師、患者という、
それぞれの役割を超えてはいけない、ということでした。
密接になりすぎてしまってはいけなかったのです。

更に深く心を見つめてみると、こんなことが分かってきました。
当時は研修医ですから、自分の医療の技術や診断に
自信が持てないわけです。そのような状態のときには、
必要以上に患者さんに接近してしまうことがあります。

自信のなさを埋めるために、心理的な距離を近づけることで
代償してしまうのです。そして医療者側のそのような無意識の心は、
ときに患者さんに依存する心を生じさせてしまうものなのです。

このような経験は、みなさまにも起こりうると思います。
しかし地道に実践を積み重ね、いい意味での自信が出てくると、
必要以上に仲良くなろうとする心は自然に沈静化していきますので、
頑張って乗りきって下さい。

この記事へのコメント
この洞察には驚きました。
この心理的な距離の話は、
医師、患者関係だけではなく、
教師と生徒の関係、親子関係にも
あてはまりますね。
参考になりました。
ありがとうございました。
Posted by TK at 2006年01月16日 15:53
TK様
メンタルヘルスの観点は、人類普遍ですからね!
生きることに苦しみを感じる場合は、考え方
一つでそれを乗りこえられる、とまず信じ、
やってみると解決することが多いように思います。
やってみるためには、智慧が必要です。
その智慧を、これからもアップさせて頂きたいと思います。
Posted by tate at 2006年01月29日 08:51
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/10575257
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。