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【7】医療者のメンタルヘルスケア
症例・本当に患者さんのための医療になっているか?




■ 自分のための医療?

 本当に患者さんのことを考えているのか?
 心が間違っていると、うまくいかない

私はいつも、末期の患者さんとの関わりにおいては、
独特の信頼関係を保ちます。

たとえて言うなら、
もうすぐ亡くなる人の前でニコニコ笑っても、
それが失礼にあたらない、
家族も一緒に安心してニコニコ笑いあえる、
そんな独特な雰囲気が多いのですが、
その方の場合は、何度病室を訪れても、
膠着している状態が続きました。

事情が事情だから仕方がないのかな、
と思っていましたが、さすがにあまりにこの状態が続くために、
ちょっと立ち止まって自分の心を見つめていました。

まず気付いたのは、構えて、心理的な距離を作り出していたのは、
患者さんサイドではなくて、私の方だったこと。
これ以上関係を悪化させてはいけないと思い、
丁寧に対応しなければいけないと思っていたこと。

つまり、「患者さんのためではなく、自分のための医療になっていた」のです。
まずこれに気付きました。

このような心の流れでは、絶対にうまくいくはずがありません。
人間対人間の関係というものは、見えない力が作用するので、
心が間違っていると、表面だけ取り繕っていても、
絶対にうまくいかないものなのです。

いずれにせよ、残された時間が少ないのであれば、
何よりも優先して、その患者さんにとって一番いい選択を
こちらがすべきだと気付きました。

不安材料をすべて捨てて、そういう事情をすべて忘れて、
一主治医として、最善の関わりをしていこうと、心を切り替えました。
そのように思った瞬間に、私自身の心の重荷が消え、
急速に関係が改善していきました。

これは、ものすごく驚いた出来事でした。
心の持ち方一つで、状況ががらりと変わることがあることを
そのときに知りました。

心を見つめ、正していくことが、これほどまでに大きな力を持つのか、
という一つの具体例です。

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